ふー

精神科と代謝内科、整形外科のお世話になっています。

言葉に尽くせない

2年8ヶ月前、自ら禁じたこと。
今日、禁を破った。


待っていたのは至福の時間。
この心のときめきと、穏やかな喜びと。
耳をくすぐる天使の声。


その瞳は強くてやさしくて穏やかで
その唇はゆるやな声を発する。
天使がいた。



好きな人に会いにいった。
職場を訪ねた。
同僚を紹介してもらった。


二人で、立ち話でやりとりした。
近況、体調、エトセトラ。



じいとしては禁断の恋。
心掻き乱れ、悶える。
少年のごとく激しく求め、狂う。
見境がつかなくなる。
恋は激しい烈火だ。


叶わぬ恋。
あきらめきれぬ恋。
この思い、一生抱き続けていく。


他には何も要らない。
彼女を手に入れることが出来たら。
この命捧げる。
いや、この人生を捧げる。


その覚悟はとうに出来ている。
きれい事では済まされない。
これまでの人生の、えも言われぬ苦界がある。



天使は穏やかで、慎ましく優しい。
惚れて惚れて惚れぬいた人はそこに居た。
激しさも、悔しさも、惨めさも全て消え去った。
彼女が居る、ただそれだけで。


同じ時間に同じ空間に存在できる。
穏やかに言葉を交わすことが出来る。
誰にも遠慮なく、見つめることが出来る。
他に何を望もう。


抱きしめて、チューして、エッチでも出来ればまだ良いが
それは今は求めてはいけないこと、願ってはいけないこと。
3年近く会わなかった。


お互いに歳を取った。
2年8ヶ月前に、自ら消し去った彼女の電話番号を尋ねた。
登録した。


時々電話をして良いかときいた。
良いとの返事。
そして、ここにも時々来てくださいという有り難い言葉。


彼女と私の間には、何のトラブルもない。
もう、20年以上何もない。
有るのは、私のココロのトラブルだけだ。



その思いの強さ故、偏屈さ故、衝動故。
恋は残酷だ。
欲しがってしまうから。



我が生涯に悔いあり。
彼女を娶れなかったこと。
どんな汚い手を使ってでも、落とすべきだった。
そうしていれば私は今、世界一の幸せ者になっていた。


来世、いや、来世私はこの心の欲の醜さ故に人間に転生することはあるまい。
いつかの世、また再び人間として彼女と巡り会う機会があれば、
彼女を愛で、彼女に尽くし、彼女を幸せにする良き伴侶になりたい。
いや、なってみせる。



今日、彼女と過ごしたわずかな時間。
至福の時間だった。
その心地良さは、言葉に尽くせない。


心醜い私にも、こんな時間が得られるのだと、改めて彼女に感謝する。
天使は天使のままにあって欲しい。
次に会う機会、次に言葉を交わすときも至福の時間であって欲しいと願うばかりだ。


私はまだ一度も、彼女の手すら握ったことがない。