ふー

精神科と代謝内科、整形外科のお世話になっています。

ラストスイカ

今日、二ヶ月ぶりに会えた片恋相手のRちゃん。
確信を持って、小さな小さな小玉西瓜を4個、持って行っていた。
彼女が在室であることを確認してから車までスイカを取りに行き、
私の用件が終わってから、彼女の居る部屋をノックした。


彼女の少し迷惑そうな表情が目に入ったがお構いなし。
「あの、これ、スイカです」とだけ言って
NIKEのシューズバッグごと彼女に差し出した。
彼女は「私、あの、もういいです」と言ったが、
私は差し出して彼女に受け取るように促した。


彼女は「中味だけでいいですから」と言ったが、
私はかまわず、「そのままどうぞ」と言って渡してきた。
部屋を出るとき、笑顔と、「お世話になりました」と言うことは、忘れなかった。
良かった。


会話の時間は多分、一分少々。
楽しい時間だった。
彼女にとっては迷惑だったかもしれないが、・・・。


二つのことを推測した。
一つは「スイカが好きなのかもしれない」ということ。
渡すのはこれで5回目、個数は20個目だ。
最終的に断らなかった。
最初に手渡したときも、スイカを確認して、断らなかった。
スイカが好きなのなのかなあ。
それなら大歓迎だ。


二つ目は、押しに弱いのかなあ、ということ。
私の気持ちに応えることはできない、と言うワープロ打ちの手紙をくれたのは二ヶ月前。
それから十通近くの手紙を書いた、多分目を通してくれてると思う。
結果は梨の礫だが・・・。
今日は迷惑そうな顔をしたが、結局スイカは受け取ってくれた。
相手の好意を完全に拒むことに慣れていないのかな、と感じた。
今日は私の押しが強かったから、対面だったから拒めなかった、のではないかと推測する。


完璧に嫌われている訳ではない、と、いい方に解釈している。
そして多分、彼女に特定の相手は居ない。
初めて、かわいいなと思った。


彼女にとって二月前の私の告白は、全く予期していなかったものだと思う。
ただの面識ある人、顔見知りから突然「あなたが好きです」と告白されたのだ。
困ったに違いない。
それは今も、困ったままの渦中にあるのだと思った。
断ったけど言い寄ってくる、しつこく、しつこく、だ。


実は、私も困っていた。
彼女のことが好きだ、という感情は突然湧き上がってきた。
止められなかった、冷静になれなかった、とにかく狂うように伝えていた。
コントロール出来ない感情がある。


振り返るのはまだ先で良いと思っている。
今はまだ渦中、途上にある。
彼女のことについては何も知らない。
名前と職場だけを知っている。


今日、他の人に対応する彼女の姿を眺めていた。
なんだかホッとして、姿を見るのが二月ぶりだから、それだけで嬉しくなった。
その横顔を見つめながら、どうして俺はこの娘を好きになったのだろうかと自問した。
答えは空っぽ、人を好きになることに理由は要らない、と思う。
好きになったあとに考えればいい。


今日はホッとした。
ラストスイカを渡せた。
満足な日であった。